原康さんの写真&エッセイ集「小さな旅の写真ノート」を読みました。
原さんにとって旅とは遠く離れた土地に行き自然と向き合うことでもあり、近所の散歩も旅であるということです。
特に後者の近所の散歩がまさに「小さな旅」であり、ちょっと視点を変えるだけでも新たな発見があるものだと言っていました。
確かにその通りで、いつもの駅までの道のりだとしても真っ直ぐ前を見て歩くだけでなく、横のブロック塀を見てみたり、駐車している車の下の覗き込んだり、街路樹を眺めたりしてみると今まで気がつかなかったような世界が広がるものです。
また、大通りではなく路地に入ってみるととにかく新しい刺激ばかりなので歩くスピードが自然に遅くなってしまうことに気がつくと思います。
そんな小さな旅を柔らかな文章のエッセイと、温もりを感じさせる写真で表現しているのが本書です。
千葉県の小湊鉄道のような東京からほんのちょっと離れた場所にも出かけていますが、東京都内の写真が個人的には好みでした。
都会の喧騒ではない、人がそこで生活している温度を感じさせてくれるのです。
いい意味での泥臭さとでも言うのでしょうか。
そこに原さんの写真の特徴が出ていると思いました。
昭和の風景を探して歩く僕の東京散歩にも参考になるところがあり、楽しく読むことのできた1冊でした。