東京都荒川区の東側にある都電三ノ輪橋停留所。
そこは都電荒川線の起点となる停留所である。
下町の色を濃く残すこの停留所へは日光街道沿いよりほとんどシャッターが閉じてしまっているアーケードをくぐり抜けて行く。
ほとんど休まずに営業している雑誌販売所の姿を見てわかるように、ここはもう何十年も変化していない。
周囲はどんどん新しい建物に変わっていく中、昔の賑やかな姿とは程遠いものがあるが、ここだけが変わらずに存在し続けているのである。
もうひとつ変わらないのが停留所脇にある小さな小さな神社だ。
停留所や道路が新しくきれいになっても、いつもこの場所で変わらず静かに佇む。
かつては三ノ輪橋という停留所の名前が示すように川が流れ橋があったが、今はもうなくなってしまった。
変わらないものと変わってしまったものが交錯するこの町は、一瞬だけ現在から過去へとトリップできる場所とも言えるのではないだろうか。
もうなくなってしまったものは二度とは帰ってこないが、この祠とアーケードはきっとこれからもここで都電の発着を見守ってくれることだろう。
Nikon D40x