明治・大正・昭和初期の東京を現在と比較する 原島広至「東京今昔散歩」

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また東京散歩をする際のちょっと変わったガイドブックを見つけました。

原島広至さんの「東京今昔散歩―彩色絵はがき・古地図から眺める」です。

明治、大正、昭和初期には東京各所の風景写真を絵葉書にしたものが流行したらしく、当時はまだカラー写真ではなかったので、職人さんがそこに色付けをしていたそうです。

それで町の人々は色がついた風景画を見ることができていたようなのです。

本書では現存しているその色付き風景絵葉書と同じ位置からの現在の写真を比較しています。

古地図などで昔の町並みを見ることはありましたが、明治・大正期といったかなり昔の風景がこのようなカラーで残っているとは知らなかったので、とても興味深い1冊になりました。

本書で掲載されている街は、皇居、亀戸、浅草、両国、上野、神田川、九段、日本橋、銀座、日比谷、永田町、赤坂、芝、などです。

当時はまだ新宿、渋谷、六本木などは栄えた街ではなかったので絵葉書は販売されていなかったことがわかります。

さて、現在と過去を比較したものを見てみると、やはり東京の町は大きく様変わりしていることがわかります。

娯楽の町として大いに賑わっていた浅草の様子に驚き、現在の廃れてしまった姿と比べると哀しみが引き出されてくるようです。

さらに現在のように隅田川には橋がたくさん架かっていることはなかったので、当時は渡し舟があちこちにありました。

その様子と場所も正確に把握することができるのはとても重要な資料となるでしょう。

建築物についても昔のモダンな建物が町の中でどのように見えていたのかがわかり、市電が走っているところや、当時の人々の服装、表情まで見て取ることができます。

本書を持って東京の町歩きをして、過去の姿に想いを馳せると、さらに東京について深く知ることが出来るような気がします。

おしゃれなスポットやグルメを追求するだけでなく、過去と現在について学ぶのもいいかもしれませんよ。

散歩好きにとって必携の1冊です。

東京今昔散歩―彩色絵はがき・古地図から眺める (中経の文庫 は 5-1)
原島 広至
4806131245

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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。
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