最近でも車の運転中に携帯電話で通話をしている人をよく見かけます。
歩行者の視点から見るととても怖いものです。
もちろん対向車の運転手が携帯電話で話をしていたら、それも怖い状況でしょう。
しかし、ここでひとつの疑問が出てきます。
携帯電話で通話しているのと、助手席に乗っている人と話をするということの違いはあるのでしょうか?
両者ともドライバーは運転に集中しているのではなく、他者と話しをするという点で同じ状況です。
それを比較した実験に関する記事があったので紹介したいと思います。
タイトルを日本語にすると「安全運転したいですか?同乗者と話をするのは大丈夫。でも携帯電話は危険です」といった感じでしょうか。
もっと論文調の題名にしてみると、「同乗者との会話と携帯電話での会話が車の運転に及ぼす影響について」になりますかね。
それでは簡単にまとめてみたいと思います。
これまでの先行研究で同じようなものはあったようです。
しかし、そこでの会話のテーマがかなり難しく、運転以外の部分に意識を集中させなくてはならないおうなものだったので、この研究ではできるだけ身近なテーマを選択しました。
それが「人生における危機的状況」というテーマです。
誰もが1度は経験したことあるだろう危機一髪の状況について会話をしてもらうのです。
では実験条件について見て行きましょう。
被験者を3つの群に分けます。
1.携帯電話で会話する
2.同乗者と会話する
3.会話しない
この3つの群を比較することによって、誰かと会話することが運転に対して悪影響を及ぼすのか、さらに同じ会話でも携帯電話を使った場合と横にいる人との場合を比較することができます。
この3つの群の被験者(実験される人)に運転シミュレーターを操作してもらいます。
混雑した高速道路に乗り、ひとつ先の出口から出てもらうというコースです。
運転中に会話をしてもらいますが、それは先に記したように「人生における危機的状況」というテーマを設けています。
ただし、会話はそれだけしか行ってはいけないというわけでなく、他のことをしゃべってもいいという自由度を設けています。
これだとより現実に近い会話になりますよね。
それでは結果です。
Want to drive safely? Talking to passengers may be okay, but talking on the phone isn’t(Cognitibe Daily)より
まずは左のグラフから見てみましょう。
これは出口を逃してしまった割合です。
携帯電話での会話をしていたドライバーの約50%が出口を逃してしまい、これは同乗者との会話をしていた人が逃してしまった約13%という数値に比べて統計的に有意に高い値を示していました。
これは同じ会話でも携帯電話の使用によってより注意力が散漫になっていたことが推測できます。
同乗者と会話するのと会話なしとの比較では、グラフを見ると差がありそうな気がしますが統計的に意味のある差はありませんでした。
つまり同乗者との会話は会話をしないで運転するのと同じくらい集中できていると考えられます。
次に右のグラフを見てください。
これは会話の中で高速道路の交通状況についての話題が出てきた回数です。
会話にはテーマを設けていましたが、そこには制限がなく自由度もありました。
携帯電話を使用していた人に比べて同乗者との会話の方が2倍ほど多く話題になっていることがわかります。
つまり携帯電話よりも同乗者との会話の時の方が周囲の状況について気を配っているのではないかということが考えられるのです。
この結果から、運転時の携帯電話の使用は周囲の状況を見えづらくするということが推測できると思います。
このような状況が事故を引き起こしてしまう可能性は十分に考えられます。
この結果からわかるように、運転時の携帯電話の使用はとても危険です。
高速道路よりも一般道の方が歩行者など注意しなくてはいけない点はたくさんあります。
歩行者の視点から見ると、そのような状況での携帯電話の危険性についてもしっておきたいものです。
一般道でのシミュレーションもぜひやってもらいたいところだと思いました。
この実験は車の運転中に行う日常的な会話(携帯電話 or 同乗者)が運転に及ぼす影響を実証したものとして有意義なものだと思います。
英語の原文はこちらからどうぞ。
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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