北欧にはなんとなく憧れがあるのですが、実際にどんな場所なのかってほとんど知識がないのです。
以前、「北欧デザインをめぐる旅―Copenhagen Stockholm Helsinki」という本を読んで漠然としたイメージとして僕好みの町がたくさんあると思ったものです。
→デザイン重視の北欧旅行ガイドブック 萩原健太郎「北欧デザインをめぐる旅」
最近そんな北欧諸国、フィンランドについての本を偶然手に取ったのでさっそく読んでみました。
・堀内都喜子「フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))」
まずは目次を見てみましょう。
第1章 不思議でとても豊かな国~失業率20パーセントから国際競争力一位へ
第2章 学力一位のフィンランド~できない子は作らない
第3章 税金で支えられた手厚い社会~独立心が旺盛でたくましい女性
第4章 日本と似ている?フィンランド文化~異文化コミュニケーション
本書を読む前はフィンランドについて知っていることと言えば、「なんとなく寒い国かな」程度でした。
地図で場所を指せと言われてもできないくらいでした(実際にはロシア、スウェーデン、ノルウェーに囲まれています)。
でもこの新書版のわずか200ページ足らずでわかったつもりになったくらい、かなりわかりやすくて興味深く読むことができました。
まず驚かされたのは国際競争力という産業面でも学力という教育面でも世界的なトップに位置し、日本よりもはるか上を行っているということなのですが、労働時間は少ないし、学校の授業時間も少ないしということで、その秘密におおいに興味が出ました。
教育面で感心したのは25人学級が実現されていることです。
しかも理解度が低い子供には授業中にボランティアの方がマンツーマンでついて手助けしてくれるのです。
また人数が少ないほうがいい教科はクラスを半分に分けて、別の時間に授業を行ったりとかなり自由度の高い時間割を組むことが可能なようです。
これにより特別できる子供を育成するというよりも全員が同じように高いレベルで理解できるようにしているのです。
これをそのまま日本に導入するのは難しいところがあるでしょうが、少人数制のクラスにする努力はやはりするべきところでしょう。
産業面では、日々の残業はなく、休暇が異様に多いということに驚かされました。
特別働き者の国民性を持っているというわけではないものの、その短い時間で集中して働き、オフの時間はしっかり休んだり、勉強に当てたりとしているようです。
また仕事はそれぞれの個人の専門に特化した職業に就くので、最初から即戦力に近い状態で働き始めることができるということもあるようです。
また仕事をしながら勉強をしてより専門性の高い職に転職したり、一旦仕事をやめてまた学校に戻って勉強をしなおすことも特別なことではないようです。
このような雰囲気があると、いつでもどこでも勉強することができるので、学ぶことが誰にとっても日常に近いものになる点がとても見習うべきところだと思います。
さて、本書で一番読んでいて気持ちが良かった点は、著者が本当に日本を愛していることです。
外国関連の書籍の場合、「日本はだからダメだ」「日本人であることが恥ずかしい」というような雰囲気が見られたりするのですが、フィンランドを通じて日本人であることのアイデンティティを感じて、日本に対する愛国心を深めている点がとても好感が持てます。
フィンランドから学び、これからの日本を考えるという姿勢が僕自身も見習うところだなと痛切に思いました。
ぜひ皆さんに読んでいただきたい一冊です。
フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453)) (集英社新書 (0453)) 堀内 都喜子 |
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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