最近は東京の散歩や町歩きに関する本をよく読むようにしています。
そのようなテーマの本は現在の東京ではなく過去の東京を描いているものが多いのですが、昔の姿を活字で読むことで頭の中で色々想像を膨らませて楽しんでいます。
今回の感想はこちらの本。
私の東京町歩き (ちくま文庫)
川本 三郎
本書は1980年代に雑誌「東京人」で連載されていた「東京のありふれた町」をまとめたものです。
登場してくる町は、阿佐ヶ谷、大久保、蒲田、羽田、高輪、佃島、月島、人形町、門前仲町、本所駒形、三ノ輪、玉ノ井、鐘ヶ淵、四ツ木、堀切、千住、赤羽、板橋、日暮里、三河島などです。
23区の東部が多いように見えますが、やはり筆者の川本さんはこの地域がお気に入りのようです。
筆者の町歩きのスタイルは、気になった景色を写真撮影するでなく、目的を持ってその場所を訪れるのでもなく、自由気ままに歩き回るというものです。
散歩の終わりに銭湯に寄って、帰りに居酒屋で一杯引っ掛ける、それがお決まりのパターンですがそれ以外は本当になんとなく歩いているという感じです。
ただし、その自由さの中にも東京に関するしっかりとした知識を持っているからこそ、この筆者のような町歩きが成立しているのだと思います。
先にも書きましたが、本書に掲載されているのは1980年代の東京です。
震災、戦争、東京オリンピックで破壊されていった東京がどんどん変化していく様が描かれています。
しかし、2009年の現在にこれを読んでも今ひとつピンとこない部分があるのですよ。
つまりこの約20年の間でさらなる大きな変化が東京で起こっているおかげで、今の町から昔の町を想像するのが難しくなっているのです。
開発が進んでどこの町もあまり変わり映えがしなくなっている現在を見ている僕にとっては、川本さんが描く80年代の東京の個性豊かな町がうらやましくて仕方ありません。
80年代の東京は僕の中学生、高校生の時代だったわけですが、今ではほとんど記憶に残っていないし、写真で記録にも残していないのが本当に残念です。
さて、本書には写真家の武田花さんによる町中のネコの写真も掲載されています。
一枚一枚はいいんですけど、枚数が圧倒的に少ないのでもっとたくさん見たいと思ってしまいました。
路地裏の木造家屋の前で居眠りする猫なんてそうは見ることができないものですから、機会があったら武田さんの写真集も見てみたいと思います。
本書は30代というよりも40代以上の人にとっては懐かしさでいっぱいになる本だと思います。
東京で生まれ、東京で育った人の原風景がここにあると思いますよ。
川本三郎さんの「私の東京町歩き」についての詳細はこちらから。
→私の東京町歩き (ちくま文庫)
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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