城島啓司「世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く」

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最近旅に行ってみたい場所は、北海道、高千穂、出雲、そして熊野です。
特に熊野について最近テレビや雑誌などでよく見かけるようになっているのでとても気になる地域になってきました。
そんな熊野についての興味深い本を読んだので紹介したいと思います。

世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く (集英社新書 ビジュアル版 13V)
植島 啓司
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著者は熊野について長年に渡って現地での調査を行い、研究をしている植島啓司さんです。
宗教学的立場から熊野の聖地についての考察を行っているとのことです。
本書は観光案内というよりも、熊野についてのエッセイと言ってもいい内容ですが、神々の名前がたくさん出てくるので神話の知識があるとより理解が深まるかもしれません。
僕は神話について詳しくはないのですが、先日たまたま神話に関する本を読んでいた記憶が役に立ちました。
しかし、伊弉諾尊や伊弉冉尊といった普段あまり目にしない感じ表記がたくさん出てくるので読み方を確認するのに骨が折れました(伊弉諾尊はイザナギノミコト、伊弉冉尊はイザナイノミコト)。

さてさて、本書は29の章から構成されており、熊野に散らばる聖地を丁寧にひとつひとつ解説し、さらに神話や現地を実際に見た筆者の実感から考察をしています。
その語り口は専門家以外にも理解できるようわかりやすくなっており、日本神話とギリシア神話の比較をしたりというユニークな視点を持っています。
この中でも聖地に関する記述に僕はとても興味が惹かれました。

聖地は、一般にそれだといわれているところだけを見ていても、かえってなかなか見つかりにくいものである。これまでにも有名な神社仏閣や名所旧跡をまわってきたのだが、さっぱり何も感じられない「聖地」も少なくなかった。おそらくそれらは人間の側からの神へのアプローチの場所であって、神が降り立ったとされる場所ではなかったのである。それゆえ、神の気配を感じるよりも先に、「人間」ばかりが目についてしまったのかもしれない。たぶん一般の人が聖地と思っているところに神はいないのだ。

確かに聖地として崇め奉られている場所には俗っぽい場所が多く見られ、僕から見てもあまりにも静謐さを感じることができない所が多い気がします。
そういう点からも熊野の山に惹かれてきているのかもしれません。
では、どういう場所が聖地となるのかというと、筆者は玉置神社についての章で次のように述べています。

そして、その成長の遅さによって、普通よりも数倍多い樹脂が内部に保たれることになり、腐りにくく長寿につながるのである。このような自然と出会うことができる場所はそんなに多くはないが、そこでは自然があまりに逸脱したかたちをとっているのですぐわかる。たとえば、杉の寿命は数百年、ところがそれをはるかに超す巨木がたくさんあるということもその一つ。岩盤がミネラル分に富んでおり杉の生育に寄与するのか、すばらしい水源が近くにあってつねに栄養分を補給するのか、いくつかの条件を満たした場所が選ばれた聖地になるのである。

樹、水、岩など自然というものが日本古来の聖なるものであり、それらが持つパワーはおそらくその場所、その地でしか感じることができないものであり、またをれを人工的に再現できるというものではないのでしょう。
歴史の積み重ねこそが、聖地が聖地たる所以なのだと思いました。

また、本書では鈴木理策さんによる写真も多数掲載されております。
植島さんのエッセイと合わせてみると、その写真に表現されている自然の姿がより理解できると思いますよ。

本書は用語としてはやや難しいものも出てきはしますが、熊野に行く前にはぜひ読んでおいて欲しい1冊です。
日本の神々についての理解が深まると思います。

城島啓司さんの「世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く」についての詳細はこちらから。
世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く (集英社新書 ビジュアル版 13V)

もっと軽い観光ガイドブックならばことりっぷがいいかもしれません。

南紀・熊野古道 (ことりっぷ)
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。
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