2019年9月4日にNagatacho GRiDのSpace0にてアバストによる「パパママが知っておきたいSNSとの付き合い方」に関する勉強会が開催されました。現在1歳11歳の子供がおりまして、まさにその内容に僕自身がぴったりであると思い参加いたしました。今回はその内容をまとめてみようと思います。
「アバスト」とは
まず最初に今回のイベントを主催するアバストソフトウェアジャパン合同会社のeコマースマネージャーである藤野翔太郎さんからアバストとはどのような会社であるのか説明がありました。
アバストはコンシュマーと個人のためのデジタルセキュリティの世界的リーダーで、本社はチェコのプラハにあります。1988年に設立され、2001年にフリーミアムモデルを導入しました。つまり、基本機能は無料で利用できるセキュリティソフトです。されに、2016年に同じくセキュリティソフトを開発しているAVGを買収し、2018年にはロンドン証券取引所に上場しました。
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いったいどれくらいの人がアバストを利用しているかと言いますと、世界中で4億人以上なのだそうです。消費者向けセキュリティソフトとしては最もダウンロードされています。僕自身も使用したことがあります。
日本においては2017年3月に東京にオフィスを設立しました。日本国内でもPC及びモバイルユーザーの580万人が利用しています。日本語でのサポートもしているので、ワールドワイドな企業ではありますが、日本の人も安心して使用することができるでしょう。
2019年の製品は次のものです。
もちろん無料版もありますので、まずはこちらをチェックしてみください。
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「子育て世代の『シェアレンティング』の問題および調査結果」
次にアバスト驚異インテリジェンスディレクターのMichal Salatさんから「子育て世代の『シェアレンティング』の問題および調査結果」についてのお話を伺いました。
Salatさんはチェコのプラハをベースにしている方で、新たな脅威からユーザーを保護するのが仕事の目的です。特にSNSにおける情報共有の問題について関心があるようで、今回はその興味深い調査結果を詳しくお伝えしてくれました。
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・シェアレンティングとは
シェアとペアレンティング(子育て)を合わせた言葉がシェアレンティングです。これまで聞いたことがない方もいるかもしれませんね。簡単に言うと、子どもの情報をインターネット上で共有することです。子どもが生まれると、かわいい我が子について誰もがインターネット上で話しをしたくなるかもしれません。しかし、そこには大きな問題点があります。例えば次のようなものです。
アメリカの女優さんが子どもと一緒の写真をネットで共有したところ、親子喧嘩に発展してしまいました。子どもの同意なしに写真をネット公開したことが原因です。女優である母親は自分の写真をネットに公開するのは当たり前のことかもしれませんが、子どもは自らの意思に反して写真を勝手に公開されたくはありません。子供の同意なしのシェアレンティングは大きな問題があるのだということが浮き彫りになりました。
日本では渡辺満里奈さんのツイートがシェアレンティングを明確にしてくれました。
9歳の娘にネット公開の同意を相談したところ却下されたのです。
・デジタルタトゥー
オンライン上で公開されるものはデジタルタトゥーになってしまいます。自分や他者の情報をネット上に公開した時にデータの足跡が残ることがデジタルタトゥーです。一度ネット公開されたら、それが完全に消えることがないことからタトゥーに例えられます。子供が嫌がることをシェアレンティングするとデジタルタトゥーとなる可能性があるわけですね。
・日本でのシェアレンティングについての調査結果
アバストが楽天インサイトと協力し、ネット上でどのように何をシェアしたのか1000人以上を対象に調査しました。その結果恐ろしい数字が出てきました。
「日本人の4人に1人が自分の子供の写真をモザイク無しでSNSにおけるに投稿した経験がある」
一見すると低い数字に思えるかもしれませんが、20代女性だけを抜き出してみると8割がモザイクなしでSNSに子供の写真を投稿したことがあるです。
「60%の日本人が子供の写真をSNS世代に載せてよいか事前に確認したことがない」
確認することもあると回答したのは全体の3割以下です。
「90%の親が子供が喜ばない情報を共有してしまった可能性がある」
「30代男性の4人に1人はSNS世代投稿した写真を子供からやめてほしいと言われたことがある」
「日本人の38%がSNSで非公開にしているコンテンツはない。あるいは非公開が何の意味なのか知らない」
SNSは投稿の公開範囲を指定することができます。誰もが目にできるような全体公開もあれば、友人にだけ見せるというような限定公開もあります。ところが、非公開設定にしていない人のうち63.8%は見られたくない情報はSNS世代で発信していない、15.9%は非公開にする理由がない、21.3%はやり方がわからないと回答したそうです。自分は見せてもいいと思っていても、子どもは見られたくないと思っているかもしれませんよね。
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・セキュリティ上の問題
SNSなどでは本名は18.9%、誕生日は13.7%共有されています。
パスワードを作成する時にこれらのものが含まれることがとても多いです。意識せずに、パスワードのヒントを公開してしまっているのですね。ペットの名前も要注意なキーワードです。
・ネットいじめ、ハラスメント
パソコンや携帯電話を利用したいじめは年々増加しています。
これは認知されたものですので、実数はもっと多いはずです。
・Doxing(晒し)
また、Doxingという問題点も出てきています。Doxingとは晒し行為のことです。ネットに公開された写真や動画を元にして、身代金を支払わなければそれらを全て公開すると脅してきます。自分の意に反して公開された写真をどこかで手に入れて、それを材料にしてくるわけですね。
また、赤ちゃんのかわいらしい裸の写真をブログなどに公開したところ、変質者のグループが写真をダウンロードしてポルノサイトにアップした事件もあったそうです。
されに、見知らぬ人がSNSなどで見かけたかわいい子どもの写真をダウンロードして、自分の子どもだとして公開している事例もあります。シェアレンティングはこれらのようなDoxingの可能性を高めていると言えるでしょうね。
・家族の安全を守るためのアバストからのアドバイス
これまでSNSに子どもの写真をアップする怖さを強調してきましたが、やっぱりかわいい自分の子どもは誰かに見てほしいですよね。次のようなアドバイスをいただきましたので、ぜひ参考にしてください。
「SNSのプライバシーポリシーを確認」
「個人情報が特定できる情報は公開しない」
「公開範囲を意識する」
「子どもが将来これを見たらどう思うかを意識する」
「子どもの写真を投稿することによる影響を考える」
「他人の子どもが写った写真は投稿しない」
「フィッシング対策が可能なアンチウイルスソフトを導入する」
楽しく安全なシェアレンティングができるよう意識したいものです。
「パパママが知っておきたいSNSとの付き合い方」
次にITジャーナリストの高橋暁子さんより「パパママが知っておきたいSNSとの付き合い方」というテーマのお話を伺いました。
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まずは10代の子どもたちがどのようにSNSを使用しているのかを確認してみましょう。こちらの質問についての答えを考えてみてください。
通常Twitterならアカウントはひとつ、インスタグラムもひとつというようにサービス毎にアカウントはひとつと考えるでしょうが、今の若い子どもたちはそうではないようです。複数のアカウントを持つ人が多くなっています。
なぜ複数持つのかといいますと、今の学校用、前の学校用、バイト用、悪口用などそれぞれのアカウントで異なる情報発信をするためです。
次の質問です。実名で全体公開をするか?
答えはイエスです。
そう、実名で世界中に情報発信してしまうのですね。仲がいい人達とだけ繋がっていると思っているSNSで、いわゆる炎上投稿をしてしまい、実は実名を使っていたということから個人特定に至ってしまうことも多々あるのはこれが原因のひとつなのかなと感じました。
次は子どもたちが日頃好んで使用しているSNSについてです。まずは小学生から。
YouTube、LINE、TikTokがトップ3です。TikTokがすごい勢いで小学生の間でも広まっているのだそうですよ。ある種の嗜好をもっているひとたちは、TikTokから情報を集めていることもあるそうです。
中学生になると数が多くなります。
見たこともないアイコンがあります(笑)
高校生。
そして大学生。
マッチングアプリも入ってきています。大人が使っていない、そもそも知らないアプリを子どもたちは使っています。子どものことはちゃんと把握していると思っているかもしれませんが、実は子どものスマホはブラックボックスになっているなんてことがあるかもしれませんよ。
高橋さんは学校などに講演に行く際は、その学校に通っている子どもをSNSから特定する実演をするそうです。簡単に特定される様子からみんなネットの怖さを実感してもらえるそうですよ。
最後にSNSに子どもの写真をネット公開するメリットとデメリットについてお話をしていただきました。
メリット
・育児で孤独に陥らない
・情報が集まるデメリット
・公開した写真は一生残る可能性があり、悪用されることがある
・写真は情報を多く含み、様々なプライベート情報が筒抜けに
子どもの写真を通じてインターネット上で友人ができるということもあることでしょう。でも、全てをさらけ出す必要はないですよね。
最終的なまとめとしてSNSで子供の情報を安全に公開するコツも教えていただきました。これから紹介する項目はぜひとも覚えておいてくださいね。
・子どもの本名は公開しない
・園名、学校名がわかる情報は出さない
・自宅が特定できる情報は公開しない
・本人が将来的に困ること(裸、身体的なこと、いじめにつながること)は公開しない
・公開範囲を考えて公開する
・顔写真をいつまで公開するかを考えておく
最後最後と言いつつ、これが本当に最後の怖い情報です。Instagramで「#入学式」「#入園式」といったハッシュタグを検索してみてください。学校名や園名がばっちりわかる写真がたくさん公開されています。子どもの名前が記述されているケースもあります。たったひとつの投稿で重要な個人情報が手にとるようにわかってしまいますよ。
まとめ
実は我が家にはもうすぐ2歳になる子どもがいます。ブログやSNSにおいて、全体公開で子供の顔写真を投稿することはしてきませんでした。全体公開ではこんな形にしています。
これで完全に安全かと言えばそうではないでそうね。上野が行動範囲だな、ベビーカーはピジョンだな、洋服に電車が描かれているから電車を見に行くことがあるのだろうな、などといったことが読み取れると思います。だからと言って写真を公開しなくなるのも面白くないので、高橋さんが最後に教えてくれた安全に公開するコツはしっかりと復習しておきたいと思います。
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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