宇佐和通「都市伝説の正体」

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都市伝説と言われるものに興味を持ち、ここ数年その収集をしています。
重複を含めて毎年200近い事例を聞いていはいるものの、やはりまだ知らない話があったり、知ってはいても既存のものから少し内容が変わったりしているというものも多数あります。
従って毎年報告される都市伝説に新鮮さを感じております。
さて、そのように都市伝説について関心がある僕にとって興味深い本が先日発売になりました。
宇佐和通さんの「都市伝説の正体-こんな話を聞いたことはありませんか?」です。
宇佐さんは街頭で人々に都市伝説に関する聞き取り調査をしたり、チェーンメールを収集したりするという調査手法を用いています。
そして都市伝説に対する立場はディバングすること(嘘をあばくことです)。
まずは目次を見てみましょう。

第1章 トラディショナルな都市伝説
第2章 乗り物に関する都市伝説
第3章 子どもに関する都市伝説
第4章 ホラーな都市伝説
第5章 動物に関する都市伝説
第6章 食に関する都市伝説
第7章 事件・事故の都市伝説
第8章 ネット上の都市伝説

このように都市伝説の内容によって分類し巷にたくさん存在する話をわかりやすく整理しています。
そしてそれぞれの章で世の中に伝わっている話を類似したもの同士を結び付けて、どのような派生過程をたどっているのか分析しています。
都市伝説は固定的なものではなく、時代や地域に応じて常に変動していくものです。
それがとてもわかりやすく解説されているのです。
例えばピアスの穴から出る白い糸を引っ張り、完全にそれを抜いてしまうと失明してしまったという都市伝説があります。
この話が語りだされたのは1990年代初頭のことであるということを突き止め、この話が日本だけでなくアメリカでも語り継がれていることを紹介しています。
つまり日本の都市伝説が海を渡ったということです。
アメリカの風土に合うように登場人物がカルフォルニアのサーファーになったりしているというような日本オリジナルとの差異を指摘しています。
このような分析が目次にあるように多岐に渡る分野の都市伝説においてなされており、まったく飽きずに読み進めていくことができました。
最近は「信じるか信じないかはあなた次第」というような都市伝説本もある中で、徹底して懐疑的な姿勢をとり、その都市伝説が生まれた時代背景などを分析して調査をする筆者の態度には感銘を受けました。
かなりお勧めの一冊です。

都市伝説の正体-こんな話を聞いたことはありませんか? (祥伝社新書159) (祥伝社新書 159)
宇佐 和通
4396111592

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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。
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