武田知弘「教科書には載っていない!戦前の日本」

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最近昭和の時代の建築や人々の暮らしというものに大いに興味があるので、ちょっと気になっていたのがこちらの本。

教科書には載っていない!戦前の日本
武田 知弘
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さっそく購入して読んでみました。
まずは目次から。

第1章 不思議の国「戦前の日本」
第2章 本当は凄い!戦前の日本
第3章 古くて新しい戦前の暮らし
第4章 熱く迷走する、戦前の日本

第1章では現代の日本からは考えられないようなヤクザの国会議員、遊郭、薬物の話など、第2章では日本の経済成長、科学技術力など、第3章では受託事情、就職問題、受験戦争など、第4章では戦時下での日本の迷走が書かれています。
戦前の日本というととかく軍国主義下で暗く抑圧された部分が強調されがちですが、実際にはそういうことばかりではない、いや、それ以上に世界的に見ても優れている部分や人々の明るい暮らしがあったんだということが書かれている内容になっていました。
特に興味が惹かれたのは第2章と第3章です。
第2章では戦後の経済成長は実は戦前の経済成長があったからこそ起こりえたことなんだということが書かれていました。

明治維新から第二次大戦前までの70年間で、日本の実質GNPは約6倍に増加している。実質賃金は約3倍、実質鉱工業生産は約30倍、実質農業生産は約3倍になっている。

昭和4年(1929年)に、アメリカのウォール街で始まった世界大恐慌は、世界を不景気のドツボに叩き込んだ。欧米諸国が先のみえない不況の暗闇にあえぐ中、日本は昭和8年には早くも回復基調に入り、翌年には、世界大恐慌以前の経済水準に戻っている。これは当時の先進国にくらべ、約5年も早い経済回復だった。

不平等条約があった江戸から明治にかけてよりも飛躍的な成長を遂げて世界でも有数の競争力を蓄えてきたのがここから想像できます。
こういうところはもっと評価されてもいい部分だと思いました。

第3章では150万部が売れたという雑誌の「キング」が紹介されていました。
この雑誌の内容は思想的なものではなく大衆路線だったようで、誰もが楽しめるようなものだったようです。
まだまだ娯楽の少なかった当時とは言え、これだけの発行部数を誇っていた雑誌があったとは本当に驚きです。
残念ながらこの「キング」は昭和32年に廃刊になってしまったようですが・・・

全体的に見て非常に面白く読める本書ですが、やっぱり内容は軽いです。
専門的な部分に突っ込んでいくのではなく、トピックスをいくつかわかりやすく提示するというスタイルをとっています。
まるでテレビ番組を見ているようにスラスラ読み進めていくことができますので、ある程度知識がある人にとっては物足りない内容で終わってしまうかもしれません。
しかし、戦前の日本の文化に興味はあるけど、知っていることは少ないという人にとっては気軽に読むことができる入門書になっていると思います。

武田知弘さんの「戦前の日本」についての詳細はこちらからどうぞ。
教科書には載っていない!戦前の日本

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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。
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