民俗学学園ミステリー 田中啓文「邪馬台洞の研究」

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なんだか軽く読める本が欲しいなと思って購入したのがこちらの本。

邪馬台洞の研究 (講談社文庫)
田中 啓文
4062763044

タイトルを見て「お、邪馬台国に関するミステリか」と思わされて興味を持ったのですが、実は正解は「邪馬台洞」です。
さて、物語の主人公は諸星比夏留という名の女子高生です。
体系はスレンダーなのですが、恐ろしいくらいの大食いで古武道の「独楽」を体得おり、ユニークな必殺技も持っています。
しかも体重が220kg。
ほっそりとした体系なのになぜか体重だけはやたらとあるという設定なのです。
これだけでもとんでも設定の物語だということが想像できるのですが、ストーリーもまたトンデモ系でした。

本書には4編の短編が収録されており、それぞれが独立したものでありながらも連続物と言ってもいい繋がりを持っています。
表題作となっている「邪馬台洞の研究」では比夏留が通う学校、私立田中喜八学園高等学校の裏手にある常世の森が舞台になります。
そこに邪馬台国があったのではないかと推理からスタートし、ドタバタやすったもんだの末に邪馬台国とは全く関係のない結末になるのです。
しかし邪馬台国がないかわりに、この常世の森にはそれ以上と言ってもいい謎が潜んでいるということがわかってきます。
謎の生物、奇妙な声、校長により森を覆うように作られた高いフェンス・・・
ここには秘密がいっぱい隠れていそうです。

「死霊洞の研究」「天岩屋戸の研究・序説(一)」ではまたもや常世の森の不思議と日本の古代史をからめたミステリーが展開され、「人喰い洞の研究」では夏合宿で訪れた先での事件が出てきます。
いずれの話も洞窟が舞台となっているのは共通となっています。
そんな中で主人公の比夏留が大暴れし、大食いをしてストーリーを進行していきます。
比夏留が所属する民俗学研究会の部員や民俗学に詳しい友人、比夏留の父親などとても濃い目のキャラクターが出てきてなかなかに楽しめる作品でした。

でも、本当に軽いです。
特に何も考えずに読み進めていくことができるのでハードな作品を求める人にとっては物足りなさがかなり残ることと思います。
しかし、古代史や民俗学をモチーフに学園ミステリーに仕立て上げてしまうエンターテイメント性は面白いところだと思いました。
通勤通学中などの時間に読むにはちょうどいい本かもしれません。

ちなみに本書は3部作の2作目にあたります。
1作目は「蓬莱洞の研究 」という作品です。

田中啓文さんの「邪馬台洞の研究」についての詳細はこちらから。
邪馬台洞の研究 (講談社文庫)

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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。
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