リッカ・パッカラさんの「フィンランドの教育力」を読みました。
・フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか
以前フィンランドの教育に関する本を読んで、フィンランドでの教育についてもっと知りたいと思っていましたので、僕にとって絶妙のタイミングで出版されました。
→産業、教育で世界トップを走るフィンランドから学ぶ 堀内都喜子「フィンランド 豊かさのメソッド」(とくとみぶろぐ)
この「フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか」は現在日本在住の筆者がフィンランドで実際に教師として教壇に立っていた時の経験と、自ら子育てをしているという経験から、学校教育と家庭での教育について語っています。
フィンランドの学力が国際調査で1位、またはそれに順ずる上位になっている秘訣がここで垣間見ることができます。
本書を読んでそのポイントを自分なりにまとめてみると、
・地理的、歴史的背景からフィンランド語、スウェーデン語、英語の3ヶ国語をマスターする
・修士以上で専門に教育を受けた教師
・25人という少人数クラス
・教師が選択できる柔軟な教育カリキュラム
・保護者とのコミニュケーション
・生活や心理面でのサポート
・教育にかかる費用は全て無料
著者が最初にクラス担任になったときは異例の33人クラスだったそうです。
それにたいして大変な驚きをしていましたが、僕が小学校のことを考えてみると40人クラスでした。
33人よりもさらに7人も多く、フィンランドの標準からすると15人も多いのです。
小学校低学年という最も手のかかる子供たちに対するケアを考えると、これだけで日本とフィンランドの違いが明確になります。
また、フィンランドでは教科書選びや授業内容は教師個人個人が選択できるようになっているそうです。
これにはハイレベルな教師教育があるという前提が必要なわけで、それを実践できているのがさらにすごいところだと思います(実際には費用などの面から学校単位で教科書の発注をしているそうです)。
もし日本で教師に選択権があったりしたら・・・特定の思想教育を子供達にされそうで怖いという思いの方が出てきてしまいます。
やっぱり子供達の学力、身体、精神をしっかりと考えることができるよう、教師への教育というのは絶対的に必要なのでしょう。
一番感心しているのは教育にかかる費用が無料で、全て公費でまかなわれているということです。
そのためには相当な税金が使われるわけで、もちろん相当額の徴収がなされなくてはいけません。
それにもかかわらずしっかりと国民にコンセンサスが得られているというのがいいところです。
子供の教育というのは結局は国の財産となるのですからね。
これらのことを日本で実践するのはとても難しいことだと思います。
フィンランドでも何年もかけて教育改革を実施して現在に至ったということなので、まねするのではなく、参考にしながら日本の教育について考えてみようと思いました。
フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか (学研新書)
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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