11月20日。
日頃お世話になっているLinkトラベラーズ主催による勉強会「Linkトラベラーズ旅ブログセミナー 第1回 旅行写真・動画と権利」に参加してきました。
このとくとみぶろぐは旅日記が中心となっていて、各地を旅して撮影してきた写真が記事中にたくさん登場します。
そんな写真について、法律の側面から学んできました。
講師はコスモポリタン法律事務所所属の弁護士、河瀬季さんです。
→弁護士 河瀬 季 の個人サイト
元々IT関係のライターなどをやっていて、その後弁護士へと転身したそうです。
あ、現在でもライター活動は続けているそうですよ。
今回の勉強会では「ブログにどんな写真でも掲載してもいいのだろうか?」というテーマでお話をされて、思わぬトラブルに巻き込まれないための旅行と写真にまつわる注意点をたっぷり聞いてきました。
ポイントは肖像権、パブリシティ権、住居権、著作権、商標権です。
今回は旅行ブログを書いているという人の集まりなので、あくまで自分で撮影した写真というのが前提のお話です。
ただ、この勉強会で聞いたことを法律に関する知識がない僕がまとめているので、もしかしたら間違ったことを書いているかもしれません。
その際は大変申し訳ないです。
・肖像権
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肖像権とは人間の顔についての権利です。
この言葉は最近よく聞くように成っていますよね。
それでは他人の顔を無断で公開することはなぜ問題なのなのでしょうか?
実は肖像権というものは法律上は存在しないけど、権利があるっぽいと多くの人が思っているので、定義が難しいそうです。
問題となるのは、ある人が写っている写真を公開した時に、その日その時その場所にその人がいたというプライバシーが公開されることに繋がることだそうです。
例えばそこにいたということを知られたくないような人(仕事をさぼっている人、不倫カップルなど)が写っている場合、その人のプライバシーは保護されなければいけません。
しかし、その情報はどこまで、どんな人にまで保護されるべきものなのでしょうか?
その答えとしては、町を普通に歩いているだけの人であれば保護に値するものではないそうです。
なぜなら、特に秘密にするべき事柄がないからです。
どアップで顔を写すのは問題だけど、風景の中にいるのであれば問題ではないとのことです。
写真を見てその人とわからない程度であればいいのですが、服、装飾品など特徴的なものが写っていて、顔がなくても特定できてしまうと色々まずい事になる可能性もあるそうです。
従って、誰か特定の人物を狙って撮るのではなく、風景の一部となっているならいいという解釈でよさそうです。
ただ、法律上問題なくても、みんなに憎まれるようなことはしたくないですよね。
・パブリシティ権
人と物について2つに分かれます。
パブリシティ権は財産権とほぼ同一のものです。
最初に人について見ていきましょう。
パプリシティ権とは、その人に財産権的価値があるかということだそうで、例えば芸能人などですね。
ただ、ピンクレディ事件というものがありました。
ある雑誌でピンクレディーの振り付けがダイエットに効くという記事が出て、それに対してパプリシティ権の侵害でピンクレディー側が訴えたそうですが、裁判ではピンクレディー側が負けたそうです(すみません、ざっくりしすぎで)。
本来の目的とは違うことに利用されているわけですが、それでも法律的にはOKというので、パプリシティ権は弱いとのこと。
次は物のパブリシティ権です。
これは、実は存在するかは疑わしいもので、基本的に物にパプリシティ権はないと考えてよさそうです。
・著作権
次は著作権です。
著作権とは単独で存在しているものではなく、いくつかの権利を束にしたようなものです。
複製するな、コピーするな、送信可能にするななどの複数の権利が入っています。
写真ということに関して言うと、原則的に他人が著作権を持っているものを公開してはダメ。
例外としては、実用品、大量生産品、屋外にある物、製作者の死語50年経過したものがあります。
例えばiPadなどの工業製品の大量生産品はOK。
屋外にある美術品もOKだけど、部屋の中はダメ。
そして昔の仏像や石像の製作者はどう考えても亡くなっているのでOKだそうです。
混同されがちなのは著作権と所有権で、この2つは別の概念です。
例えば、自分が買った本については「持って行かれない権利」である所有権があるが、その写真を撮られたからといって、物自体が持って行かれるわけではないので特に問題はありません。
・著作権の限界?
果たしてどこまでが著作物なのかという問題です。
民芸品、ご当地人形は大量生産品でも純粋美術と同じように鑑賞できるものであるならば著作物となりますが、その線引はとても難しいそうです。
レストランの料理は国によっては著作権を認めているが、日本では問題ありません。
写真を撮って公開しても、シェフの著作権は侵害しません。
建築も民芸品と同様に純粋美術と同じように美しいと著作権が出てくるそうです。
古い建物ならば製作者が亡くなっているのでOK(死後50年経過の場合)。
・住居権
ここまでの話では肖像権、パブリシティ権、著作権と旅ブログで写真を公開する上では法律上あまり問題になさそうですが、重要なのはこの住居権です。
撮影禁止と掲示してある場所に撮影目的で入るのは建造物等侵入となり、法律に違反します。
撮影しませんよという雰囲気を出してこっそり撮るのもいけません。
そして、撮影禁止と言われて出て行かないと不退去罪となります。
コンサートにおいて歌手が歌っているのを撮影しても肖像権、パブリシティ権の侵害とはならず、撮影禁止のコンサートで撮影するのは住居権の侵害となるそうです。
撮影されないためにどうすればいいのかというと、ちゃんと入り口にはっきりとわかるように撮影禁止の看板を出すのが一番で、入り口に撮影禁止の案内が出ていなくて、中に入ってから言われても撮影を禁止する必要は本来はないとのことです。
撮られたくないのならば、はっきり目立つようにわかりやすくしていなくてはいけなません。
ただ、これはあくまで敷地内での話なので、公道から撮影禁止のものを撮るのは全く問題ないそうです。
・商標権
ロゴマークは勝手に他人が使ってはいけないということですね。
例えば、欠けたリンゴのマークを使って本を書くと、欠けたリンゴの会社の公認のように見えてしまうのでダメ。
しかし、欠けたリンゴのマークを撮った写真がブログに掲載されても、公認に見えることはないのでOK。
写真においては商標権が問題になることはないです。
とは言うものの、ブログのヘッダーなどにどーんと載せてしまうと、公認に見える可能性も出てくるので問題となるかも。
・まとめ
今回の講師は弁護士の河瀬季さんでした。
具体的な例示とわかりやすい語り口で、難しい法律の話もとても楽しく聞くことができました。
旅ブログを書く際に掲載する写真は、よほど個人を狙って撮影するのでなければ基本的に人の映り込みを気にすることはないこともわかりました。
ただ、法律上は問題なくても、他者との揉め事をわざわざ引き起こす必要はないので、マナーを守って、他者が嫌だと感じることをしないというのが大切なポイントでしょうね。
この点をしっかり心に留めて、これからの写真撮影、ブログ執筆をしていこうと思います。
第2回の勉強会があったら、またぜひ参加させていただきます。
最後に、今回の先生である河瀬さんについての詳細はこちらからどうぞ。
→弁護士 河瀬 季 の個人サイト
勉強会を企画したLINKトラベラーズはこちらから。
→Linkトラベラーズ
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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