巨大で孤独な産業遺産に萌える 「廃墟という名の産業遺産」

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僕が旅に出た先の町で見たいと思うものは、鉄道、井戸、猫、自然、木造家屋、そして廃墟です。

最後に挙げた廃墟は巨大であればあるほどその虚無感が大きくなり圧倒的な存在感を持ちます。

そんな巨大廃墟がこの本にはたくさん詰まっているのです。


廃墟という名の産業遺産

戦前の日本の急成長、そして高度経済成長を支えた産業遺産が未だ日本各地に眠っています。

それらを本書では7つのセクションで紹介しています。

・巨大工場跡
・孤島で朽ちる
・樺太・サハリン
・小さな産業遺産
・水と共に去りぬ
・旧財閥の鉱山跡
・斜陽産業の街角

この中でも僕が特に惹かれた章が「孤島で朽ちる」です。

今ではひっそりとその威容を誇りつつも、最早誰も渡航することができない場所なので誰の目にも留まらず、誰にも破壊されることなくただただ朽ちていく姿を晒し続ける産業遺産。

例えば長崎県の軍艦島こと端島、愛媛県八幡浜市の佐島精錬所。

もう何年も、何十年も自然の中にいることによって芸術品と言ってもいいくらい熟成された姿に変わり果てて、崩壊そして消滅へのカウントダウンに入っているこれらの施設の姿の写真が持つ力は想像以上のものです。

ただ見ているだけでも、その長年の歴史が紙面からはみ出してくるようでなかなか先のページへと進むことができません。

近くから見ても、遠くから見ても、あらゆる角度でこのような産業遺産は僕の好奇心を刺激してくれます。

もう二度と動くことはないのでしょうが、それでも何かのきっかけで動き出しそうにも見えます。

そんな写真が多数掲載されているので、本書は廃墟好き、巨大施設好きにはたまらない1冊に仕上がっています。

それにしても、ここに載っている写真には人間がわずかも写りこんでいないのです。

それがまた産業遺産の孤独感を醸し出してくれている一因になっていると思います。

人の温もりが消え、忘れられたこれらの場所は実は隠された楽園なのかもしれません。

しかし、近年このような産業遺産を保存しようとする動きもあるようですが、再び人の手が加えられてしまうとこれまでそこにあったアート性が失われてしまうと思うのです。

けれども、人が保存しないことにはいつか朽ちて消滅してしまう運命は逃れることができません。

このジレンマは僕にとっては大きすぎてとてもじゃないが解決できそうにないもののような気がします。

本書のような素晴らしい写真集で満足するしかないのでしょうか。

廃墟という名の産業遺産
酒井 竜次 伊藤 将之 堀田 匡崇
4990371224

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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。
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