海外の列車にはあまり興味がないのだけれど、この本を読んだら無性に乗りたくなってしまいました。
文庫本にもかかわらず巻頭にはカラー写真が掲載されており、オリエント急行、氷河急行、TGV、青蔵鉄路などが紹介されています。
どれも美しい景色の中、素晴らしい客車で走行しており、憧れの気持ちが自然と湧き出てきました。
さて、本書では世界の各地域を5つのブロックにわけています。
アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アメリカ、アフリカの5つです。
これらの地域で走る特急や長距離列車を3ページから5ページというごく短い文章で紹介しているのでとてもテンポよく読み進めていくことができます。
海外の列車についてほとんど知識のない人でもどんな列車なのかの概要がつかめるような構成になっていました。
海外渡航歴185回、取材した国72カ国という恐ろしい経験を持つ著者によるレポートなので、どれも詳細、その列車に対する思いが伝わってくるようなものでした。
そして何より写真が豊富なのです。
文庫本の旅関係の本だと文章のみで今一実感が掴めないものが多いのですが、本書では写真という具体物が示されて実際の様子、スタッフや乗客の表情、仕草が直観的にわかるようになっているのです。
この写真があるということが楽しく読み進めることができる秘密だったのかもしれません。
日本では夜行列車は本当に数が少なくなってしまいましたが、海外ではまだ走っている地域がたくさんあるようです。
南アフリカの2泊3日で走るロボスレイル、6泊7日のシベリア鉄道、所要時間約30時間のオリエント急行などなど。
豪華列車によるのんびりした旅に夢が膨らんでしまいました。
また、コラムで海外旅行時の注意点なども書かれているのが実際に役に立ちそうです。
切符の種類、スリ対策は現地に行く前にしっかりと勉強しておく必要がありそうです。
その中でも、スイス国鉄の抜き打ち検察はいかなる理由があっても正当な乗車券を持っていないと80スイスフラン(約7800円)のペナルティを受けてしまうというのは勉強になりました。
不正乗車は言うに及ばず、間違えて乗ったり、切符を落としてしまったなどのうっかりミスすら許されないという厳格さがあるというのは注意が必要ですね。
日本だと、車掌さんから切符を買えばいいやという風に思ってしまいますが、それはスイスでは通用しないのです。
このような文化差も紹介されているのが本書のいいところだと思いますよ。
海外旅行で鉄道に乗るということを考えている人にはいいガイドブックになると思います。
櫻井寛さんの「今すぐ乗りたい!「世界名列車」の旅」についての詳細はこちらから。
→今すぐ乗りたい!「世界名列車」の旅 (新潮文庫)
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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