最近本当に鉄道本を読むことが多いです。
そんな中またしても鉄本購入。
本書は旅レポートや鉄道写真本とは異なり、日本の歴史の中で鉄道がどのような役割を持ち、また鉄道がどのような政治的意図でもって敷設されてきたのかが論じられてます。
まずは目次から。
序章 一直線に走る鉄路も、曲がりくねった路線も、すべては“その時代”の要請だった
1章 新政府の国策「富国強兵」は民間の鉄道建設が支えた
2章 急速な産業発展が地方鉄道、近郊私鉄を生む
3章 都市の膨張、大衆文化の到来で東京と関西の鉄道網が完成
4章 高度経済成長の時代をビジネス特急「こだま」が疾走
5章 国鉄民営化、赤字線廃止…鉄道もかぶった「リストラ」の波
明治の時代、鉄道の路線が日本全国に延びていったわけですが、その際、SLから吐き出される煙を避けるために町への駅設置を断ったところがあったのはよく聞く話です。
過去において街道沿いのそのような町は賑わっていたのかもしれませんが、鉄道から離れてしまうことによってそれからどうなってしまうかは想像できることと思います。
当時の人々にとって黒くて大きな鉄の塊が煙を吐き出しながら疾走する姿はきっと恐怖の大魔王に似たようなものがあったのかもしれません。
現在から見るとちょっと信じがたいこのエピソードは本書でもちろん紹介されていますが、それより興味深いのは明治の軍事施設を鉄路で結ぶために日本の鉄道網が形成されていったということです。
乗客の輸送ではなく貨物、資源の軍事利用が優先されていたのです。
時代を考えれば当然のことなのでしょうが、これによって現在の東北本線、信越本線、北陸本線、東海道本線、山陽本線、鹿児島本線が次々と完成していったのはなんとなくイメージとは異なるところです。
もちろんその後の発展は軍事ではなくビジネスが中心となり、現在の日本全国に張巡らされた鉄道網が完成するのですが、その過程が実にわかりやすく本書で解説されています。
近現代の教科書にのっているような歴史が鉄道というフィルタを通してみると理解されやすくなるのに不思議な感覚を覚えました。
歴史は一つの観点からだけでなく、このようなちょっと変わった視点で見てみるとまた面白いものですよ。
鉄道地図の謎から歴史を読む方法 (KAWADE夢新書)
野村 正樹
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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