僕が住む町には貨物の専用線が走っています。
子供の頃、長い長い貨物の編成に長時間踏切を待たされましたが、貨車の数を数えたり、最後の車掌車を待ったりしていると不思議と時間が経つのが短く感じられたものです。
冬には機関車や貨車の屋根に雪が積もっていて、東京の冬とは全く違う遠い雪国の冬を想像したりもしていました。
しかし最近は貨物列車の本数が少なくなり、編成も短くなったなと思っていた時、この本に出会いました。
特集は「貨物列車と昭和の風景」です。
表紙が丸田祥三さんによる茶釜のEF13の印象的な写真だったので、もう迷うことなく購入しました。
貨物列車特集でもいくつかのトピックスがあるのですが、その中からいくつか印象に残ったものをピックアップします。
まずは表紙写真でも登場した丸田祥三さんによる「あの日の町と機関車たち」です。
1970年代の貨物車両と現在の写真が掲載されています。
1970年代はまだまだ国鉄の貨物も元気な頃で、都心にも貨物列車がたくさん走っていたようです。
新宿を走るEF13の力強さと駒込を走るEF15の重連の迫力はみごとなものです。
1970年代後半だったら僕も見たことがある風景のはずなのですが、全く機関車の記憶がないのです。
きっとデッキ付きの機関車を見ていたはずなのに、子供の頃の僕は貨車と車掌車に目を奪われていたようです。
今だったら真っ先に機関車に目が行くのにな。
その他には、もう廃止になった東京都港湾局晴海線の春海橋の現在の様子も出ています。
ここは僕も一昨年訪れたことがあり、その姿に感動したものです。
次に印象に残った企画は「貨物鑑賞スポット10選」です。
これは現在どこで貨物列車を見るのがいいのか、10の鑑賞スポットを挙げて解説しています。
その10とは、恵比寿駅、新川崎駅、川崎貨物駅、矢川駅付近、浜川崎駅・八丁畷駅、田端駅周辺、新中川鉄橋、多摩川鉄橋・国分尼寺跡、拝島、八王子駅です。
具体的な場所が写真付きで解説されており、現在の貨物事情がよくわかるスポットが厳選されています。
そこで金太郎や桃太郎が見ることができるわけです。
ここで紹介した2つのトピックスでもわかるように、今回の貨物特集は過去を知ることもできるし現在も知ることができるように構成されています。
従って、昭和の国鉄貨物を懐かしむことができると同時に、現在のまだまだ地道にがんばっているJR貨物を知り、さらにこれからのエコな観点が必要になる時代へ向けての物資の鉄道輸送という未来についても考えることができるようになています。
1冊の雑誌でかなり深いところまで貨物について知ることができる今回の東京人はかなり内容が濃いものだったと思います。
貨物好き、鉄道好きにはもちろんお勧めです。
また、散歩好きな人もぜひ本書を読んでお散歩コースに貨物が見える場所を付け加えて欲しいと思いました。
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この記事の筆者は徳富政樹(とくとみ)です。ブロガー、街歩き案内人、なんちゃってフォトグラファー。日本全国を旅しながら写真撮影をしています。マニアックな場所や美味しいもの、鉄道、井戸ポンプ、ネコが好きです。トップページ | 旅の全記録 | フォトウォーク | 登山の全記録
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